モビリティOSと姿を見せ始めた走るコンピューター
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自動車を「モビリティ」と呼び、知能化を「走るコンピューター」と呼ぶ自動車産業の変化についてソフトウェアエンジニアの視点であれこれまとめる。
これで日本勢は、Areneを使うトヨタ、マツダ、スズキ、スバル。そして別のOS(おそらくGoogleなど米IT)に初めから頼るホンダ、日産、三菱という構造に。これは日本発の統一車両OSを目指すトヨタとしては少し見込みが外れる展開となりそうです。OSは規模の経済、日本発OSも利用者が一部に留まれば、
— ウミガメ@自動車の未来予測 (@turtle_auto) March 15, 2024
OSの生態地位 Ecosystem Between OS:
OSが分裂すると、OSの生態地位が重要になる。ウインドウズはオフィス労働者、マックはアートデザイン系、リナックスはテックガチ勢の嗜好に合わせて進化してきた。
モバイルOSではグーグルアンドロイドとアップルのiOSが2強だが、モビリティOSはどうなるのだろうか。
各自動車会社のOSが市場のどのセグメントを狙うのかはっきりしてこない限り、開発投資はできない。「モビリティのスマート化」はしばらく様子見。
消費財か資本財か Consumer Goods or Capital Goods:
OSは厳密には「規模の経済」ではない。OSを「消費財」と見るか「資本財」と見るかで、解答は異なってくる。 ウインドウズOSが有料である一方で、リナックスOSは無料だ。リナックスOSが生み出された理由は、エンジニアにとって「OSは資本財」で、価格競争力が求められるからだ。ウインドウズやマックのような利益率の高いOSは、消費者市場でしか生き残らなかった。
補助輪の価格 How Much Is Your Training wheels:
マックとウインドウズは、コンピューターに無知な人間でも扱えるように進化してきた。1960年から1980年くらいの旧文系ホワイトカラーの知識さえあれば、コンピューターを利用できるように、さまざまな補助機能を充実させた。自転車に「補助輪」を付けるように、コンピューターに「支援機能」を付けて、大衆化させた。誰でもコンピューターが扱えるという販売戦略は、民主主義の理想と、相性が良かった。しかし、見落としていけないのは、その「補助輪」や「支援機能」は、おそろしく割高という点だ。
アップルとルイヴィトン Apple and LVMH:
コンピューターの知識のない消費者を相手にすれば、中身が理解できないので、製品外面のデザインやブランドによって、利益率を最大化できる。一時は倒産寸前まで追い込まれたアップルが、息を吹き返した理由は、この「コンピューターのわからない人間に利益率の高い商品を売る」というビジネスモデルだ。経済学を学んだ者であれば、アップルとLVMH(ルイヴィトンの親会社)の利益率が突出していることにすぐに気づけるだろう。この利益率の格差は「消費者の無知と虚栄心」を、市場機能を通じて価格発見したものだ。
なぜアップルサーバーはないのか Why No Apple Server:
反対に、コンピューター修士以上しかいないサーバー市場では、マックを使うエンジニアは皆無だ。マックは優れたOSだが、エンジニアの視点からは「割高な付属部品」が多すぎて、価格競争力がないからだ。AIの到来によって「コンピューターのわからない人間は割高なものを買い続ける」傾向はさらに強まるだろう。
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