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日本政府がデジタルノマドのためにビザを発給する政策を打ち出したが、英語のできるソフトウェアエンジニアの世界では「デジタルノマド=オワコン」なので、おいしい法螺話を吹き込まれた日本政府の認識との差をあれこれと考えてみる。
デジタルノマドは〇〇 Digital Nomad is XXX!:
ユーチューブで否定ビデオがどんどん作られている通り、デジタルノマドは、世界的に流行していく「拡大期」にあるのではなく、その限界が明らかになり、デジタルノマドイズ〇〇〇〇!という意見の西洋人が増える「縮小期」にある。
デジタルノマドが注目を浴びていたのは、個人的には2012年から2018年くらいだと思う。デジタルノマドの体験談がたくさんアップロードされ、その長所と短所が見えてきて、もう誰も真剣に取り上げる題材ではなくなっていた。そのような死語であるデジタルノマドが、急にニュースで挙げられていて、びっくりした。デジタルノマドの弱点は、上記ユーチューブ動画でよく指摘できている。
自民党と仲間たち LDP and Friends:
個人的には、西洋人のデジタルノマドが日本列島にそれほど魅力を感じるとは思えない。日本列島に魅力がないわけではない。しかし、西洋人のソフトウェアエンジニアにとって、日本列島は遠くにあり、もっと身近にあるスペインやEU小国もデジタルノマドビザを発給しているので、なぜわざわざ極東の島国に滞在しなければいけないのか?もし日本が選ばれるようにしたいのであれば、追加の動機が必要であろう。
西洋人の事情を知っているかどうかはわからないが、自民党がデジタルノマドビザを推進する背景には、いつもの「利権とお友達」がたくさんいるのだろう。「観光客にお金を落としてもらいたい地方観光団体」や「外資系エリートが高額で借りてくれるオフィス不動産業者」、おそらくはこのあたりであろう。
解像度 Resolution:
ちなみに、デジタルノマドは、西洋社会ではどのような社会階級の人間たちなのだろうか?日本政府は高年収のデジタルエリートを想定しているが、デジタルノマドの実情は異なる。グローバルランキング大学出身者は少数で、大多数は使い捨ての期間工として、テック企業は見ているように思う。これは日本のゲーム会社やテレビ制作会社が、専門学校卒業者を使い捨てている構図と似ている。
虚栄心を利用しろ Utilize Their Vanity:
資本家が労働者を都合よく使い捨てしたい場合、労働者の虚栄心を利用する。デジタルノマドもこの例に漏れず、「キラキラビーチでオシャレで羨ましい生活をインスタグラムへアップロード」できる代わりに、「見栄のために安い賃金で働く期間工」という位置づけだろう。資本家の狡猾さを甘く見てはいけない。最終的には、日本政府が想定しているデジタルノマドよりは、もう少し悪質な外国人がデジタルノマドとして入国してくるだろう。