資生堂の凋落と次の投資先企業の基準について>Blog>Dictionary

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資生堂の「中国スキンケア爆上物語」に決着がついたので、投資家目線でまとめる。(資生堂が個人的に好きな消費者市場の人は、本ブログを無視して、そのまま購買していてください)

スキンケアと中国 Skincare Product and China Market:


資生堂の株価は、2015年の3000円から、2018年に9000円近辺まで、「爆上」した。その理由を考えてみると、資生堂が中国市場に本格参入したと日本人向けにアピールしたからであろう。
中国市場の人口は10億人以上で、日本市場の10倍の消費者が存在している。だから、単純に考えれば、中国市場は日本市場の10倍の売上があっても不思議ではない。しかも、中国美女たちは、日本と同じアジア系なので、メイクアップ製品よりはスキンケア製品で勝負する傾向があり、東洋文化を背景として先端技術を持つ資生堂は優位だ。これは株価は9000どころか、15000円を楽々と超えていくしかないぜ。
このような物語が、資生堂の株価爆上を支えたと、記憶している。

資生堂のスキンケア商品=アルティミューン 75mL 美容液


資生堂の死角 What Shiseido Missed:


それから2024年になってみると、資生堂の株価は上昇するどころか、半額の4000円をウロウロ低空飛行という結果になった。
なぜか?資生堂を9000円で購入した投資家は、何を見落としていたのだろうか?
1つ目は、お金持ちになれば、当然、中国メーカーも自分たちで技術開発をする点。中国市場でお金が余れば、日本の化粧品を購入するだけでなく、そのお金を教育に使う。教育水準が上がり、科学技術が発展する。そうすれば、中国メーカーが化粧品市場に参入してくるのは、当たり前の話だった。
2つ目は、日本人投資家の中国市場の解像度の低さ。(これは中国だけではなくてすべてのアジア国に対して日本人は無知だと思っている)。実際に中国語が理解できるわけでもないのに、なんとなく「次は中国市場だ!爆上しかない!」という物語に乗せられた。もっとも、2018年の市場を考えると、みんなが乗せられていた感覚はあった。「どうして世界最大の中国市場に進出しないのか」と外部から指摘されて、経営者が反論するにはなかなか勇気が必要だった。
3つ目は、日本の若者が海外のスキンケアも利用するようになった点。これは日本だけが「アジアのお金持ち」ではなくなった結果で、資生堂は中国市場で苦戦しているだけではなく、日本国内市場でも、若者から敬遠され始めている。国内の高齢者だけの需要が残っている点は、テレビや新聞などの旧メディアも同じだが、まだ「日本語だけしかできない人たち」という参入障壁が守っている。しかし、化粧品をお試し利用するには、さっと通販で買えばよく、言語は関係ない。

中国の新興コスメ=花西子 FLORASIS

中国市場からの撤退 Retreat from China Market:


資生堂と投資家たちは、中国市場を過大評価していた。2024年の株価を見ると、こう言わざるを得ないよね?
そして肝心なのは、この先だと思う。中国市場の低迷継続が見えてきた2024年現在、どれくらいの速度で「中国爆上物語」から撤退して、「別の成長物語」へと転換できるかを、次の投資基準にしたいと思っている。

中国に進出した消費材メーカーのうち、助かった企業は、早期に異変を感知し、撤退したメーカーだった。そのおかげで、2024年の市場でも安定して成長続けている。中国撤退組のうち、2社にこれから投資を計画しているが、どちらも「オーナー独裁」という経営環境で、「OB会を排除して新しいことに挑戦している」という特徴がある。オーナーの権限が強く、中国市場から一気に撤退できた理由もここにあったはず。

反対に、資生堂や広告代理店の変化が遅いのは、この2点で、「オーナーによる権力集中=機動的な経営戦略」と「OB排除=古い利権を持つ層を排除できるか」という問題を解決できていなそう。中国市場の進出から撤退まで、さまざまな内部派閥の事情を考慮しながら進んでいるうちに、敗北しそうな気配がある。こういう「老人脳」企業は、積極的に売っていくのもアリだと思う。

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